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更年期障害

更年期障害とは

更年期は閉経の前後5年の合計10年間とされます。更年期には閉経に向けて女性ホルモンの分泌量が大きく変化しながら低下していくこと、加齢に伴う体の変化や精神的なストレス、身の回りの環境の変化などにより、多種多様な症状が現れやすくなります。それらの症状の原因が甲状腺疾患などの他の病気でなく、症状により日常生活に支障をきたしてしまう状態を更年期障害と呼びます。

日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40代前半、遅い人では50代後半に閉経を迎えます。女性の平均寿命は80代後半ですので、閉経後にも40年近くの年月があります。この時期を快適に、若々しく過ごすためには、適切なケアが必要です。なんだか調子が悪いと感じた際には、軽い症状のうちに受診しましょう。

症状

自律神経系

顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)・発汗など

身体的な症状

疲れやすい・めまい・動悸・頭痛・肩こり・腰痛・関節痛・足腰の冷えなど

精神的な症状

不眠・イライラ・不安感・気分の落ち込みなど

 セルフチェック(簡略更年期指数:SMI) 

症状の程度に応じてご自分で「強・中・弱・無」の4段階で判断して、その合計点を出します。

強:毎日のように出現 

中:毎週みられる

弱:症状として強くはないがある 

症状 

強 

中 

弱 

無 

点数 

① 顔がほてる 

10 

 

② 汗をかきやすい 

10 

 

③ 腰や手足が冷えやすい 

14 

 

④ 息切れ、動悸がする 

12 

 

⑤ 寝付きが悪い、または眠りが浅い 

14 

 

⑥ 怒りやすく、すぐイライラする 

12 

 

⑦ くよくよしたり、憂うつになることがある 

 

⑧ 頭痛、めまい、吐き気がよくある 

 

⑨ 疲れやすい 

 

⑩ 肩こり、腰痛、手足の痛みがある 

 

合計点 

 

簡略更年期指数の自己採点評価法 

0~25 点 上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょう。ただし、閉経後の骨粗鬆症や脂質異常症のリスクは点数にかかわらずありますので、定期的な検査と予防は必要です。 

26~50 点 食事、運動、生活様式に注意をはらいましょう。老化予防や骨粗鬆症、脂質異常症リスクの低減をしっかり行っていきましょう。 

51~65 点 症状を今以上に悪化させないためにも、婦人科受診をおすすめします。生活指導、薬物療法を受けたほうがいいでしょう 。

66~80 点 できるだけ早く受診いただき、つらい症状を改善するために半年以上の計画的な治療が必要でしょう 。

81~100 点 重い更年期障害の可能性もありますが、各科の精密検査を受け、原因を明らかにして適切な治療を受けましょう。 

治療

ホルモン補充、漢方、それぞれの症状にあわせた薬物療法、エクエル(エクオール)、サプリメントなどの多くの選択肢があります。症状やご自身のライフスタイルに応じて治療を行います。

HRT(ホルモン補充療法)

大きく減少していく女性ホルモンを補充することでその変化を穏やかにして、症状を改善させます。内服薬の他に貼り薬、塗り薬などがあります。

漢方療法

漢方療法は長い歴史を持つ伝統的な治療となります。複数の症状に効果を見込めるものやゆるやかに体質を改善してくれるものなどさまざまな処方があり、更年期障害の病態によく適合しています。

症状にあわせた薬物療法

胃腸症状、睡眠障害、不安などの症状にあわせた薬剤による治療も行っています。漫然と続けることは避け、必要であれば症状にあわせた診療科へのご紹介をいたします。

更年期以降の生活習慣病や骨粗鬆症について

閉経後には高血圧や脂質異常症、糖尿病などの発症・進行リスクが上昇します。これは血管をしなやかに保ったり、内臓脂肪の分解を促進してくれる作用がある女性ホルモンの分泌が大幅に減ってしまうためです。適切な管理をしないと心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な病気のリスクを上昇させてしまいます。

骨粗鬆症は骨が弱くなり、骨折の危険性が高くなってしまう状態です。女性ホルモンは骨の破壊と再生という代謝を正常に保つ作用を持っています。情勢ホルモンの減少により閉経後は骨量が年間2%減少していくといわれており、予防がとても大切です。

予防のために、

  • 骨密度測定などの検査を定期的に受ける。
  • カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを豊富に含む食品を摂取する。
  • 散歩などの運動を積極的におこなう。

などを行いましょう。

必要な場合には薬物療法などを行います。

腟ケアの重要性

加齢により皮膚や粘膜が乾きやすくなるため、ドライアイやドライマウスを発症しやすくなります。また、腟も乾きやすくなって感染リスクが上昇してしまいます。皮膚や粘膜に潤いをキープできるようにケアをしていきましょう。また、骨盤底筋群の衰えなどにより過活動膀胱や尿もれなどをおこしやすくなります。性器脱などを起こすこともありますので、出産回数が多いなどリスクが高い方には早めのケアをおすすめしています。

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