月経困難症・月経前不快気分障害
月経困難症とは
月経困難症は月経期間中に起こる生理痛や腰痛、頭痛などの病的症状のことをいいます。
原因
原因には子宮内膜症や子宮筋腫、クラミジア感染といった疾患による器質性月経困難症と、卵胞ホルモンや黄体ホルモンといった女性ホルモンの分泌異常が原因となる機能性月経困難症があります。
検査
症状を詳細に確認した上で、内診や超音波検査、血液検査、クラミジア抗原検査などを行い、器質性月経困難症が除外された場合には機能性月経困難症と診断します。
治療
原因となる疾患が無いかどうかを確認し、疾患の症状として起こっている場合には疾患の治療を行います。ホルモン分泌異常による機能性月経困難症の場合には、下記の治療法から症状や状態に合わせたものを行います。
鎮痛薬
黄体ホルモンが月経時の腹痛や腰痛といった症状を起こす物質(プロスタグランジン)を増やす性質があることから、プロスタグランジン合成阻害薬である非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs:ロキソニンなど)を用います。
治療用ピル
鎮痛薬の効果が不十分な場合は、治療用ピルを用いて、症状を起こす主な原因である黄体ホルモンの分泌異常を抑制します。かなり強い症状がある場合でも、ピルの服用によってほとんどの方が楽に日常生活を送れるようになっています。また、生理の量も減少するため、貧血などの症状がある場合にも効果が期待できます。
ミレーナ、漢方薬など
レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS:ミレーナ®)は、欧米では子宮内膜症や子宮腺筋症に伴う月経困難症や機能性月経困難症を軽減される目的で用いたれています。
漢方薬は、芍薬甘草湯、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、当帰建中湯などから、漢方医学的診断に基づいて処方します。漢方薬治療では即効性はありませんが、4~12週間の使用で症状の改善を期待できます。
月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)とは
月経前症候群(PMS)は、生理前3~10日前に身体的症状(お腹の張り、疲労感、腰痛、頭痛、むくみ、乳房の張りなど)や精神症状(気分の浮き沈み、イライラ、抑うつ気分など)が現れ、生理がくると症状が軽減・消失するものとされています。精神症状が主体で強い場合には、月経前不快気分障害(PMDD)と呼びます。
原因
原因の詳細は不明ですが、ホルモンバランスの乱れ、ストレスなどの関与が指摘されています。
治療
生殖年齢女性の約70~80%が月経前に何らかの症状が現れるといわれていますが、日常・社会生活に影響を与える場合には治療対象となります。
治療にはホルモン療法、漢方薬、カウセリング、生活指導、運動療法、などがあります。
ホルモン療法
治療用ピルの中でドロスピレノン・エチニルエストラジオール配合錠を用います。
薬物療法
症状に対する薬剤を用います。SSRI、漢方薬、利尿薬、鎮痛薬、胃腸薬などを用います。
その他
症状頻度、発症の時期、重症度などから疾患への理解を深めていただき、飲酒の制限、禁煙、規則正しい睡眠や生活、定期的な運動を行うことで改善が期待できます。また、ビタミンB6やカルシウム、マグネシウム摂取は症状の改善させる可能性があります。